こんにちは、Chiyo(ChiyoM_London)です。
イギリスで家を買うシリーズもいよいよ終盤。
この記事ではオファーを出した後から鍵を受け取るまでの流れを簡単にまとめていきます。
ちなみに物件の予算決めからオファーを出すまではこちらで書いているのであわせてどうぞ
記事の情報は中古のLeaseholdのフラットを2019年にロンドンで購入した経験を基に書いています。
新築や一軒家の場合とは手順や確認するポイントが違う場合もありますのでご了承ください。
⑤ソリシターを指定する
イギリスで家を購入する場合、売買契約のやり取りは全て双方のソリシター(事務弁護士)を通して行われます。
そのため良いソリシターをアポイント出来るかどうかが取引をスムーズに進める鍵になりますし、不動産エージェントは基本は売主側の立場で動くので、買主の味方になってくれるソリシターの役割はとても重要です。
ソリシターの金額の目安
通常の弁護士費用とは違い不動産購入にかかる費用(conveyancing fee)は固定の金額が契約時に提示されるのが一般的です。
ちなみに私たちが払った費用は1,350ポンド (+VAT)。
この金額は平均より高めで、実際にVAT込みで730ポンドでお願いできそうなソリシターもいました。
ただイギリスは金額がサービスに比例することが多いので今回は少し高くても友達の紹介を受けた信頼できる会社でお願いすることにしました。
実際、購入手続き中に売主側の不備で手続きが進まなくなるトラブルが何度かあったのですがソリシターの的確な対応のおかげで無事契約完了までたどり着けました。
ちなみにこの費用の他にソリシター経由で払うものがいくつかあるので不動産購入の費用として別途準備しておきましょう。
- Stamp Duty Land Tax (SDLT)* 購入する不動産の価格によって決まる
- Land Registry fees*Land Registryに登録するための費用 135ポンド
- Search fees 200ポンドくらい
- Help to BUY/LIFETIME ISA fee 50ポンド *Help to Buy ISAやLifetime ISAを購入に使う場合に掛かる費用
- Administrative fees 70ポンド
支払いのタイミングはSearch Feesのみ最初に払い、後は不動産契約を結ぶ時にデポジットと一緒に支払いしました。
⑥住宅ローン申し込み
住宅ローンについては少し長くなったので イギリスで家を買う_住宅ローン申請から審査まで という記事でまとめています。
⑦家の調査を依頼する
住宅ローンの審査が通った後にやることはHome Survey Reportを入れることです。
このレポートの取得は義務ではないのですが、銀行やソリシターのレポートに含まれない建物やフラットの中の状態をSurveyerが調べてくれます。
Home Survey Report(Level 2)で主に下記のことを調査します。
- Electrics (電気配線)
- Issues with the roofing (屋根)
- Central heating (セントラルヒーティング)
- Damp (湿気)
- Structural problems (建物の構造)
- Valuation (建物の査定額)
レポートを受け取った正直な感想は、目に見える範囲での調査にとどまるので(ガス、水、電気をチェックしてくれるわけではない)参考になったかと言われるとうーんという内容でした。
ただレポートで不備を発見しておけば契約前に価格を再交渉したり、場合によっては購入しないという判断も取れるので中古物件を買う場合に必要なプロセスだと思います。
(私たちはレポートの写真で、売主が約束していた改装をやっていないことを発見し結果的に価格交渉することになりました。笑)
家の調査のレポートは大きく三種類に分けられます。
Condition Report (Level 1)
簡易的なレポートで、建物の査定やアドバイスはつかない。新築や良い状態のフラット向きで費用は250ポンド程度。
HomeBuyer Survey (Level 2)
目に見える範囲で家の調査をしてくれて、建物の査定もしてくれるので価格を再交渉する時に使える。一般的な条件のフラットや一軒家向き。費用は400ポンド前後。
Building Survey (Level 3)
HomeBuyer Surveyと比べると建物の構造などを詳しく調査するので主にListed Building、50年以上前の物件、建物自体を改装する人向き。費用は500ポンドから1,300ポンド程度。
私たちが選んだのはHomeBuyer Survey (Level 2)ですが、購入する物件に合うレポートを選んで数社見積もりを取るのがいいと思います。
⑧不動産売買の書類を確認
Conveyancingと呼ばれるこのパートは不動産契約に関わる法的な手続き、書類を双方のソリシターが準備する大切なプロセスです。
買い手側のやることは少ないのですが時間がかかるので、契約にいつ進めるのかもやもやする時期かもしれません。
私たちもこのパートでトラブルが起こりなんと四か月もかかってしまいました。
Exchange of Contractの直前と思ってたらなんとSellerがfreeholdの了解取らずに窓を替えていたことが発覚、retrospective consent取れるまで契約書サインできまてんなのでこの1ヶ月なんも進まなかった、、こんな感じだと不動産買う前にBrexitのほうが先に決まりそう😭
— Chiyo.M (@ChiyoM_London) August 28, 2019
簡単にConveyancingのプロセスを説明します。
1.買い手側のソリシターが下記の情報を入手する
- 買い手の個人情報を確認
- Local Councilから土地の情報、下水、洪水エリア、環境、プランニングの情報を得る
- 不動産に関わる情報を売主のソリシターから入手(Title, Lease Contract (Leaseholdの物件の場合のみ)直近のService Chargeなど)
- 住宅ローンの書類に不備がないか確認
2.入手した書類を基に買い手側のソリシターが不明な点、質問を各方面に聞く
Conveyancingに掛かる時間の目安は8-12週間と言われているのですが、Leaseholderの物件はFreeholderとの契約が絡むため手続きが更に複雑になります。
私たちのプロセスも売主とFreeholderとの契約の部分で違反があり時間がかかってしまいました。
Conveyancingのプロセスは大量の難しい書類が送られてくるので買い手にとって受け身になりがちですが、ここが契約前に最後に不動産をチェックするポイントになります。
特にLeaseholderの場合はLeaseの契約が今後大事になってくるのでソリシターに任せきりにせず不明な点があればどんどんソリシターに質問したほうがいいですよ。
3.契約をする前に解決することがあればアクションを起こす
改善が必要な問題が発生すると契約までに掛かる時間はとても長くなります。
私たちの場合下記のことを契約前に解決する必要がありました。
- Leaseholderの許可を取らずに替えてしまった窓 →売り手がRetrospective consentを申請
- Leaseholderと売り手の間で大規模修繕費が未払い →契約時にソリシターを通して全額支払うことで合意
Leaseholderの物件を購入すると上記のことはたまにあるそうなのですが、しっかりとしたソリシターなら契約前に指摘をして買い手が未払いのフィーを払わされたり、許可なしに変えてしまった部分が後々トラブルになるような事態は起こりません。
当時はこのことを知らなかったので未払いの大規模修繕費を見た時は購入をやめることも頭によぎりました。笑
⑨契約を結ぶ
ソリシターが書類を集め終わったらついに契約完了の一歩手前Exchange of Contractsに進みます。
Exchange of Contractsを不動産売買の契約が法的に締結する(Legally binding)ことになります。
Exchange of Contractsを結んだ後に買い手が契約解除を申し出るとデポジットを失いますし、場合によっては契約解除によって起きたダメージの補償を求められます。
そのためExchange of Contractsの後は不動産購入を基本的にやめられないと思ったほうがいいでしょう。
また不動産購入に伴い各種保険に加入する場合は(Building insurance, life insurance, life protection など)はExchange of Contractの前に済ませておくことをおすすめします。
その理由は建物が燃えてしまったり、買い手が病気や失業したとしても不動産売買の手続きを止められないからです。
保険商品を選ぶのに結構時間がかかるので、住宅ローン審査が終わった段階ですぐに保険会社に見積もりを依頼するのがいいタイミングです。
ちなみに各種保険加入時はQuidcoのCashbackを通すとポイントが貯まってお得ですよ。 興味があれば登録してみてください。
関連記事 イギリスに来たらすぐ登録したい!キャッシュバックサイトQuidcoを使いこなそう。
Exchange of Contractsのデポジット金額
Exchange of Contractsで払うデポジットの金額は購入価格の10%が一般的です。
例えば頭金 25% 住宅ローン 75%で購入する場合は残りの頭金15%分を契約完了時にソリシター経由で支払います。
契約完了日を決める
Exchange of Contractsを結ぶ時に決めるのが契約完了(Completion)の日付、この日が新しい家の鍵を受け取る日になります。
契約完了日は双方で合意して自由に決めることが出来るのですが、あまりExchange of Contractsと近い日付に設定してしまうと手続きが間に合わずひやひやすることもあるので2-3週間くらいが適切な期間かなと感じました。
また契約完了日の鍵の受け渡しは午後になるので引っ越しは早くても完了日の翌日以降で手配するのがベターです。
⑩鍵引き渡し(Completion)
Exchange of Contractsが終わったら契約完了に向けて買い手のソリシターは最後のインボイスを作成します。
もしHelp to Buy/Lifetime ISAのボーナスを不動産購入時に利用する場合は下記の手続きが必要です。
- 銀行の支店に行って口座を閉じソリシターに提出するためのCertificateをもらう。
- CertificateとFirst time buyer Declarationの書類にサインをしてソリシターに提出
Certificateを発行する手続き、受け取ったソリシターがボーナスを申請する時間も考慮する必要があるので、Help to Buy ISA/Lifetime ISAを利用する人はExchange of Contractsから3週間くらいの日付で契約完了日を設定しておいたほうが無難です。
ソリシターへの送金
ソリシターへ支払いを行う時よく支払いはCHAPSという方法でお願いしますと書いてあるのですが、基本的にイギリスの銀行はFaster Paymentを採用しているのでCHAPSという有料のサービスを使わなくても一般的な送金で十分当日中にソリシターの口座に着金します。
(CHAPSの送金は一回25ポンドくらいかかりますが通常のイギリス国内の送金は無料です。)
ちなみに通常の送金は各銀行オンラインでの一日の支払い制限を設けているので期日に間に合うように計画をして手配しましょう。
ちなみに利用したHSBCとHalifaxは一日の送金制限が25,000ポンドだったので数日に分けてソリシターに送金を行いました。
無事契約完了すると完了日の午後に不動産エージェントから鍵が引き渡されます。
ついに鍵受け取れたー!今日はガスや電気の契約と部屋を少し掃除して終了。洗濯機の管がちゃんと繋がってなくて水漏れるというハプニングもあり初日から洗礼を受ける。これからリノベかぁ、、遠い目。 pic.twitter.com/IlLc6dHbZB
— Chiyo.M (@ChiyoM_London) November 11, 2019
イギリスで家を買う_購入の基本の流れを押さえようのまとめ
この記事を書いている2020年2月は購入したフラットの改装をしているので、まだ購入プロジェクトが続いているような感覚ですが、ロンドンで家を買うというプロセスを夫とやり遂げたのは大きな達成感がありました。
振り返ると一番大変だったのは住宅ローン申請と大量の書類を読むこと。
住宅ローンは審査が降りるまでちゃんとローンを組めるのか不安だったし、不動産関係の書類は慣れない専門用語に苦戦してインターネットで調べるだけで1日が終わってしまうことも多く気が遠くなる作業でした。
前置きしたように不動産購入のプロセスは地域、家の種類、生活状況によって大きく変わるので私たちの経験がどこまで役に立つのかは分からないのですが、今後イギリスで家を買いたいという人の参考にこの記事がなれば幸いです。