こんにちは!Chiyo(ChiyoM_London)です。
前回のEquity Loansに続いてHelp to buyのスキームを紹介していきます。
今回取り上げるのはShared Ownership。
関連記事 イギリスで家を買う_HELP TO BUY Equity Loansについて
Shared Ownershipってなに?
はじめて聞いた時はいったい誰と共有して不動産を買うの??、、とひたすらクエスチョンマークが浮かんだShared Ownership。
言葉を聞いただけだとどんなスキームなのか分かりづらいのでまずは図を書いてみました。
Shared Ownershipとは物件の一部を購入して残りは賃貸するというスキーム。
といってもまだ分かりづらいですよね、これから解説していきますので最後までお付き合いください。笑
Shared Ownershipの利用条件
Shared Ownershipを利用するための条件はこちら。
- 18歳以上
- 世帯収入が80,000ポンド以下 (ロンドンの場合は90,000ポンド以下)であること
- はじめての不動産購入であること
- 物件に対して5-10%の頭金が用意できて、住宅ローンの審査がおりること。
Shared Ownershipの仕組み
Shared Ownershipを利用して家を購入する場合、二つの方法があります。
- 新築物件をShared Ownershipのスキームを利用して購入する
- 中古物件をShared Ownershipで購入したバイヤーから購入する (リセール)
物件はRightmoveやZooplaでShared Ownershipを検索条件に入れて探す、もしくはShared Ownershipに特化したShare to Buyというウェブサイトを利用するとすぐ見つかります。
ちなみにこれが実際の物件の広告。
センターにもほど近い1Bedroom(日本でいう1LDK)の物件で、25%分をShared Ownershipで購入する際のシュミレーションが記載されています。
賃貸(Rent)部分の計算方法は?
Shared Ownershipで分かりづらいのが賃貸(Rent)部分の計算。
賃貸(Rent)部分は購入時の不動産価格を基に
(賃貸(Rent)部分の価格/100) x 3を12で割った金額
がhousing associationから毎月請求されます。
ここでのポイントはhousing associationからの賃貸はマーケットの価格より低く設定されていること。
そのため同じ物件を賃貸するよりはShared Ownershipを利用したほうが購入部分を含めても月々の支払いが安くなるケースがほとんどです。
ちなみに賃貸価格は毎年見直されRPI(小売物価指数)に沿って値上がりします。(一般的に0.5%から2%、値上がりはあっても値下がりすることはありません。)
Shared Ownershipで掛かる費用
ここからはShared Ownershipを利用する上で掛かる費用をまとめていきます。
購入時に掛かる費用
- 頭金
- ソリシター費用
- Stamp Duty
Shared Ownershipの購入に掛かる費用は不動産をマーケットから直接買うのとほぼ同じです。
Stamp Dutyについては購入時に物件全体もしくは、購入分のみに払うかを選択できます。
購入分のみ払う場合は計算がかなり複雑なので気になる人は下記のリンクで確認してみてください。
Stamp Duty Land Tax for Shared Ownership
Calculate Stamp Duty Land Tax (SDLT)
月々に掛かる費用
- 住宅ローン
- 賃貸 (Rent)部分の支払い
- Service Charge
- 家財保険
月々の費用も不動産をマーケットから買うのとほぼ同じになりますが、この中でポイントになるのはService Chargeです。
Shared Ownershipの場合、物件の一部だけを購入しているのに全体のService Chargeを支払う必要があります。
毎月支払いが発生し、年々高くなる傾向にあるのでShared Ownershipで物件を購入する場合は費用が割高になることを頭にいれておきましょう。
Shared Ownershipのメリット、デメリットは?
最後にShared Ownershipを利用する上でのメリットとデメリットを確認していきましょう。
良い点
Shared Ownershipの一番のメリットは賃貸するよりも手頃な金額でモダンな物件に住めることです。
通勤に時間をかけたくないけれど、でも都心に近い不動産には手が届かないという人にとってShared Ownershipは良い選択肢だと思います。
また不動産を購入したのと同じように退去を迫られることもないし、リノベーションも可能なので住まいの自由度も上がります。
悪い点
私がShared Ownershipに感じるデメリットは
- 購入は物件の一部なのに、購入にかかる費用は物件全体にかかる
- 物件を賃貸に出せない
- 物件価格が割高に設定されているという声も
- 売る時にShared Ownershipで購入したい人にしか売れない *例外あり(Housing Associationから許可をもらえればShared Ownership以外の買い手にもオープンマーケットで売却できます)
主なデメリットは物件の一部分の購入にも関わらず、物件全体を購入するのとほぼ同じ費用がかかることです。
特にShared Ownershipははじめての不動産購入者を対象にしているので、ずっと同じ物件に住むわけではなくProperty Ladderに乗って不動産を乗り換えたいという人も多いはず。
そういう人にとってShared Ownershipが良い選択かどうかは費用の高さと売却の難しさを考えると疑問が残ります。
Shared Ownershipの売却について
Shared Ownershipの売却についてはこちらの動画がとても分かりやすくまとめられています。
動画では物件価格の査定によって売却時に損失になるか、利益が出るかが決まるShared Ownershipのシステムの抜け穴について語られていて今後Shared Ownershipの物件の売却を考えている方は必ず知っておきたい情報であると共に、このスキームの問題点についても考えさせられます。
Shared Ownershipの物件価格の信頼性
もうひとつShared Ownershipを検討するうえで知っておきたいことがあります。
それはShared Ownershipで購入した部屋と通常マーケットで売られている部屋は同じ建物内でも設備や部屋の間取りが違うということ。
玄関が違ったり、Gymなどの設備がShared Ownershipの場合使えないという物件もある中で新築のShared Ownershipの物件価格が正しく設定されているかどうかは売却を試みるまで分からないという不透明感もあります。
Shared ownership households complain of housing segregation
Help To Buy_Shared Ownershipのまとめ
不動産購入を検討し始めた当初はShared Ownershipも視野に入れていて、実際に物件を見に行ったりもしました。
私が見に行った物件は多くの人が見学に来ていて、売却に困っている様子はなかったのですがShared Ownershipの仕組みを調べていくなかで感じたのはいい家、いい立地には住めるけど、Property ladderからは遠ざかる選択肢かもしれないと感じました。
後半ネガティブな感想になってしまいましたが、この記事を書いた理由はShared Ownershipに対しての総合的な情報が英語でも少なかったこと、最初の不動産購入を検討している人に選択肢として伝えたいと思ったからです。
実際まわりでも利用している人も多く概ね満足している印象なので、スキームを正しく知った上で利用する分には悪くない選択だと思います。
この記事が不動産購入の参考になれば幸いです。