こんにちは、Chiyo(ChiyoM_London)です。
ロンドンに移住して5年目、EU離脱で経済の不透明感が続いているものの家の購入を検討しています。
不動産を購入するのは人生ではじめて、まさかイギリスで!ということで少々ストレスを感じながらも(在英の方は共感してくれるはず。。)購入のプロセスを通して奮闘しながら日々勉強中です。。
このブログではイギリスにお住まいの方だけでなく、ロンドンの不動産、生活について興味があるけどあまり知らないんです。。という人にも分かるように前提になる情報を入れながら解説していきたいと思います。
今回の記事のテーマはロンドンの不動産の特徴とここ最近の変化について。
普通の会社員でもロンドンで家は買えるの?
EU離脱で不動産価格はどうなった?
というニュースやデータからだけでは見えにくい素朴な疑問にも答えていきます。
ロンドンの不動産の特徴
まずロンドンの不動産事情を語る上で前提として知っておきたいポイントを4つあげてみました。
1:圧倒的な中古市場
マイホームといえば新築の日本から来ると、まずびっくりするのが中古物件の根強い人気。
大手銀行Nationwideによると、イギリスの不動産売買の約95%は中古の不動産が占めているそう。
また築年数もイギリスの物件はかなり古いんです。
イギリスの街並みでよく見かけるビクトリア様式の建物だとおおよそ築180年から110年前。
もっと古いジョージアン様式だと300年前に建てられたものもあります。
このような古い建物でも設備や窓を現代の暮らしに合うように変えることで、年数が経過しても価値が落ちない、もしくは古いからこそ価格が高くなるのがイギリスの不動産の面白いところ。
ロンドンは慢性的に住宅不足が続いており、New buildと呼ばれる新築物件も建設されています。こちらはモダンで都会的な暮らしを好む若い世代に人気があります。

しかし中古に比べるとまだまだ物件数は少なく、部屋の大きさも中古物件と比べると小さいため割高と感じる人も多いのが現状です。
リノベーションが済んだ物件を好む人は多いですが、「家はやっぱり新築がいいよね」という会話はイギリスで聞くことはほとんどありません。
2:人生に何度も家を買い替える
イギリスで暮らしているとよく聞くのが ”property ladder (不動産のはしご)”という言葉。
これははじめにFirst time buyerとして小さなフラットを買い、ライフスタイルの変化に合わせて家を売ったお金を頭金にさらに大きな家を買うスタイル。
Property Ladderは不動産価格が上昇し続けた場合のみ成り立つのですが、長くイギリスに住んでいる人は不動産の長期的な価格上昇に大きな自信を持っている人も多く、子供の最初の住宅購入をサポートするために頭金を親が援助するケースも珍しくありません。
3:不動産に価値が残る
日本の不動産を購入する場合、建物と一緒に土地がセットでついてきますが、イギリスの場合は少し違います。
イギリスで家を購入する場合、物件と土地両方を所有権を持つFreehold(物件と土地両方を所有)と建物のみ一定期間内リース契約をして利用するLeaseholdの2種類があります。
えっ、不動産購入してもLeaseholdだと一定期間しか使えないの?って心配になりますよね。
なぜこのような契約形態があるかというとイギリスでは土地や建物は王侯貴族が所有しているという背景があるから。
そのためLeaseholdの不動産の価格は所有というより、一定期間利用するための価値を売買していると考えるのが正しいですね。
ちなみにLeaseholdの不動産の場合、リース契約は最長999年まで延長可能、残存期間に応じて都度リースを更新することになります。
リースの更新にはお金がかかりますが、基本的に更新できないということはないのでLeaseholdで購入してもFreeholdと同じように住んだり、売買することが可能です。
Leaseholdの条件の不動産が結構な金額で売買されているのを見ていると土地だけではなく不動産自体にも価値が残る国なんだと実感します。
4:マイホームを売って得た利益に税金はかからない
リーマンショックで一時的に下落した時期はあるもののイギリスの不動産価格はこれまで右肩上がりに上昇しています。
ということはほとんどの人が利益を出してマイホームを売却していることになるんですね。
でその売却益ですがイギリスでは、マイホームの売却に税金はかからない仕組みになっています。
*住居に住んでいることなど条件を満たした場合のみ。
Private Residence Relief GOV UK
これからイギリスの不動産市場がどうなるかは分かりませんが、少なくとも今まではProperty Ladderに早めに乗ることはイギリスに住んでいる人にとってかなりいい資産形成方法だったと言えます。
10年間の不動産価格の推移と平均年収
ここからはリーマンショック後の2009年から10年でロンドンの不動産の価格がどう変化したのか、平均年収との対比と合わせて見ていきましょう。
2019年の平均価格はフラット(部屋)だと400,000ポンド (日本円で約5600万円)ですが、2009年の平均は227,052ポンド(日本円で約3100万円)だったので10年で約76%価格が上昇したことになります。
特に2013年からEU離脱発表があった2016年までは急激に不動産価格が上昇したので、当時カップルシェアで暮らしていた私は「ロンドンで住宅を買うなんて夢のまた夢。。」と思ってました。
ちなみにこちらがロンドンの平均年収の推移。

2018,2019年のデータが見つからなかったのですが2017年の平均年収(手取り)は39,476ポンド、2009年(37,506ポンド)と比べると上昇率は約5%で不動産の価格の上昇に比べるとロンドンの年収増加は緩やかです。
そのため2009年は平均して年収の6倍程度で買えた不動産は2017年にはなんと10倍に。。
イギリスの住宅ローンは年収の4-5倍が目安で借りられる金額になるので、一般的な会社員がイギリスで最初のマイホームを買う方法は夫婦、もしくはカップルで共同のローンを組むか、頭金を多く用意する必要があります。
EU離脱が決まってからの不動産を取り巻く現状
イギリスのEU離脱が決まったのが2016年の6月、2019年3月の離脱を予定していましたが2019年6月現在いつ離脱するのか、どのような条件になるのか全く決まっていません。
このEU離脱の不透明感からロンドンを含むイギリス南東部の不動産価格は停滞しています。
数か月不動産を探してみての私の体感ですが今の状況を数年前と比べると
「不動産への熱狂感が消えた」
2015年あたりは一つの不動産に対して数件のオファーが入り提示価格より上乗せの金額で成約する話をよく聞いていたのですが、現在は提示価格より低い価格のオファーでも他に買い手が現れなければ売り手が譲歩して承諾される、もしくはオファーが入らず提示価格を下げるケースが増えています。
下記の記事によると2019 第一四半期はロンドンは平均で提示価格から5.7%低い価格で成約していて、2018年の数字4.8%と比べても差は広がっています。
買い手だけでなく売り手も今不動産を売るのを控えているのでどの不動産屋さんに聞いても遠い目で「売買自体がすごく減ってるんだよね。。」という回答。
Buyer’s marketと呼ばれる買い手が値段を交渉しやすい状況であることは確かですね。
ただ不動産価格が暴落している状況では全くなく、現在は様子見をしている人が多いのでロンドンの不動産市場は今後のEU離脱交渉次第で大きく影響を受けそうです。
ロンドン不動産事情 2019のまとめ
今回はざっくりとロンドンの不動産事情についてまとめてみました。
今後不動産購入に関する記事も更新していきますのでぜひお付き合いください。