こんにちは!Chiyo(ChiyoM_London)です。
最近日本でも投資する人が急激に増えているソーシャルレンディング。
実際に投資をしたことがなくても一度はソーシャルレンディングという言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ソーシャルレンディングとはインターネットを通じてお金を借りたい人と貸したい人を繋ぐ仕組みで、英語ではPeer to Peer loans(P2P)と呼ばれています。
実はこのビジネス、イギリス生まれなんです。
(2005年に世界ではじめてZopaが仕組みを作りました。)
そんなソーシャルレンディング発祥の地 イギリスで今どんな風にサービスが利用されているのかちょっと気になりませんか?
この記事ではイギリスでサービスを利用していて感じるリアルな情報をまとめてみました。
2020年 6月追記
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
2020年6月現在の状況をふまえてブログ内でRatesetterを紹介するのはふさわしくないと判断したためコメントを追加しました。
Ratesetterはコロナウィルスの影響で3月に投資のストップ、現金の引き出しのリクエストが殺到し6月現在も制限がかかっており資金の流動性が大きく損なわれています。
今のところRatesetter自体や投資先が倒産やデフォルトになっているわけではないのですが、コロナのような経済危機にはP2Pビジネスはとても弱いことが浮き彫りになりました。
(もちろん、ソーシャルレンディングは怪しい?リスクと確認するべきポイントまとめ という記事で書いているのでコロナによって発生したリスクではなく潜在的にあったリスクです。)
また投資家の資金保護のためのプロビジョンファンドを手厚くするために一時的に投資家の利息が50%オフになっており、リターンも少なくなっています。
Ratesetterのコロナウィルスの対応は一定の評価をしていますが、このブログでは下記の対応をとることにしました。
- Ratesetter関連の記事にはこのコメントをつける
- 口座開設に対するキャンペーンの項目を削除
当ブログはサイトポリシーにありますように投資の助言あるいは投資の勧誘等を行うものではありませんが、今後もなるべく分かりやすく最新の情報を伝えられるように努めていきます。
2021年2月追記
2020年9月にRatesetterはMetro Bankに買収され、P2PのローンについてもMetro bankで引き継がれることが決定しました。この買収に伴いRatesetter内でP2Pに投資していた人は4月2日以降に全額返金され、口座も2ヶ月のノーティスで閉じられることになります
目次
ソーシャルレンディングのビジネスモデル
まずはソーシャルレンディングって何?という人向けにイギリスのソーシャルレンディング大手 Ratesetterのビジネスモデルを図にしました。
ビジネスモデルはとてもシンプル。
ソーシャルレンディングの会社はお金を貸したい人と借りたい人をインターネットを使ってマッチングしてその利息の差から利益を得ます。
イギリスのソーシャルレンディングを取り巻く事情
イギリスのソーシャルレンディング事情を語る上で外せないのが市場規模。
2018年4月現在 イギリスのソーシャルレンディングの市場規模は89億ポンド(約1兆3000億円ほど)
一年前の同じ時期と比べるとなんと50%の増加率。
最近は不動産価格が軟調だったり、政策金利の上昇が見込まれることなどソーシャルレンディング市場にとってあまりいいニュースがない中でこれだけ市場が拡大しているのは投資先として評価できるポイントだと思います。
BI Intelligenceの調査によると2020年の市場規模の拡大予想は160億ポンドで、暫くは市場の拡大スピードが衰えることはなさそう。
ちなみに2017年の日本市場規模は1,316億円。
前年比2.5倍と急激に伸びているもののイギリスに比べるとまだ10分の1の市場サイズなんですね。
なぜイギリスのソーシャルレンディングがここまで市場規模を拡大出来たのか。
その理由は政府の大規模なサポートです。
具体的な出来事をあげると
- イギリス政府によって設立されたBritish Business Bankが2013年から10億規模でソーシャルレンディングを通して融資をした
- ソーシャルレンディングの利益に対して税金を優遇するInnovative finance ISAsが2016年に出来た
- 2017年頃からFCAがソーシャルレンディング会社の規制、承認に乗り出した
積極的に政府がサービスを利用、税金面で優遇して、規制を整えたことで貸し手と借り手が安心して取引を行えるプラットフォームが出来ました。
その結果サービスが広く認知されて急速に市場が拡大しているのがイギリスのソーシャルレンディングの状況です。
日本のソーシャルレンディングも国の事業やNISAに組み入れられることになったら一気に市場が拡大するのは間違いないと思うので今後の展開に期待ですね。
投資としてのソーシャルレンディングの魅力
投資という観点でソーシャルレンディングを考えた時の魅力は流動性とリターンです。
イギリスではよく銀行のCASH ISA(定期預金のようなもの)と比較されています。
参考までにRatesetterの2018年5月の利息を見てみてください。

現在1年もののCASH ISAの平均は1.24%なのですがRatesetterに投資した場合の1年レートは3.5%。
20,000ポンド投資をした場合の年間のリターンは500ポンドなので結構大きな差になります。
関連記事 イギリスの定期預金でお金を増やそう。
更に流動性を重視したい場合はいつでも引き出し可能なRolling Marketという選択があります。
現在は2.9%とこちらのレートも銀行で1年預けるよりもずっといいですね。
もちろん銀行のCASH ISAとソーシャルレンディングの投資では取るリスクが全く違うので注意が必要ですが、まだまだ低金利のイギリスではCASH ISAの代わりに利用したいと考える人も増えています。
ソーシャルレンディングのリスクについてはソーシャルレンディングは怪しい?リスクと確認するべきポイントまとめで詳しく書いています。
日本とイギリスのソーシャルレンディングの違い
最後に日本とイギリスのソーシャルレンディングを両方見て感じた違いを3つ紹介しますね。
投資の選択肢がびっくりするくらいシンプル
イギリスの大手のソーシャルレンディングはZopa, Ratesetter そしてFunding Circleなのですがどの会社も直接どの案件に投資するか貸し手が選ぶ必要はありません。
自分のお金をどこに貸しているのか見えないというデメリットもありますが、選択肢がシンプルなので始めやすかったり、案件が人気すぎてなかなか申し込めないというストレスがないのはいいところかなと思います。
ちなみにこれが大手3社の商品の選択画面、選択肢は二択、もしくは三択というシンプルさ。
Provision funds(拠出金)で貸し倒れに備える動き
借り手が見えない状態で心配なのが貸し倒れのリスク。
イギリスではソーシャルレンディングの会社がProvision fundsという拠出金を顧客の資金と別に準備することで一部に貸し倒れが起こっても、拠出金を使って投資家に資金を補償する動きが主流になっています。
私は現在Ratesetterで運用しているのですが、いち早くProvision Fundsを設定していた会社だったこと、毎月Provision Fundsの残額や貸し倒れ率のレポートを公開していたことが運用会社を選ぶ決め手になりました。
現在ではZopaもProvision Fundsを設定し始めたので、この動きは将来日本でも取り入れられるかもしれません。
個人への融資が多い
日本のソーシャルレンディングとイギリスの一番の違いは個人への融資が多いこと。
Ratesetterの直近のポートフォリオを見ても個人への融資は60%以上。
例えばRatesetterはGiffgaffの携帯販売の分割払いに個人向けローンサービスを提供しています。
関連記事 イギリスで携帯をお得に買う方法
最近ではZopaがAirbnbと組んでAirbnbでホストになりたい人向けに家を改修するためのローンを優遇しています。
Get money off a new loan when you earn on Airbnb
以前イギリス ロンドン コワーキングスペース事情でも少し書いたのですがイギリスはコワーキング スペースの数も多くフリーランスやスタートアップへのサポートが充実していて、特に手厚いと感じているのは個人向けの金融サービスです。
何か新しい事業をやりたいと思った時、会社を設立前や兼業の時からお金を融資してもらえたり、ファイナンシャルアドバイスを受けられるのは心強いですよね。
イギリスのソーシャルレンディングの今を伝えますのまとめ
日本でも流行り始めたソーシャルレンディング発祥の地 イギリスでこんな風に利用されているよという情報は今後の日本市場の展開を予想するのに参考になるかなと思い記事にしてみました。
現在日本のソーシャルレンディングの投資先は企業向けや海外の不動産案件の投資がほとんどですがもし、個人の事業への融資がソーシャルレンディングを通して活発になったらソーシャルレンディングが日本社会にもたらす価値は大きいですよね。