こんにちは!Chiyo(ChiyoM_London)です。
資産運用を真剣に考えているのになかなか踏み出せなくて悩んでいる人からよく聞く言葉。
「リスクを取るのが怖い」
投資を始める前って元本を減らしてしまうことがとにかく不安に感じますよね、私もそうでした。
そんな気持ちでやみくもに投資を始めても、大抵損をしてしまうのはよく分からない状況で取らなくてもいいリスクや無駄な手数料を払ってしまうから。
そこで「投資はやっぱり難しい、危ない」という印象を受けて市場から撤退してしまうのは時間とお金がもったいないですよね。
それを避けるためにできることは
投資のリスクについて正しく理解して、何のリスクを自分で取るのかを選択することです。
自分が取っているリスクが理解できていれば投資を始める前の漠然とした恐怖が減って、より具体的に投資先を調べたり準備ができますよ。
そこでこの記事では投資初心者が避けるべき4つのリスクについて考えていきます。
投資のリスクとは
まず現金を含む資産は多かれ少なかれ全てリスクがあります。
日本の銀行に預けている現金はペイオフの保証範囲内で自国で使う分には日本がつぶれない限り、元本が減ることはありません。
ただ、他の通貨に対しての価値は日々変わるので海外で暮らす私にとっては日本円もポンドも為替リスクを取って保有していることになります。
では具体的に投資のリスクを見ていきましょう。
ひとつひとつの投資のリスクについてはイギリスのパーソナルファイナンスブログ Monevatorの記事(英語)がよくまとまっているのでリンクを貼りました。
投資のリスクの種類
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- Business risk (業種リスク)
- Currency risk (為替リスク)
- Counterparty risk (カウンターパーティーリスク)
- Credit risk (信用リスク)
- Inflation (インフレーション)
- Interest rate risk (金利のリスク)
- Liquidity risk(流動性リスク)
- Management risk (運用会社リスク)
- Market risk (市場リスク)
- Political risk (政治リスク)
- Regulatory risk (法令のリスク)
- Stock specific risk(会社の事業リスク)
- Volatility (変動リスク)
ぜひMonevatorの記事も読んでもらいたいのですが、時間がなければ上に書いた投資のリスクだけでも目を通してみてください。
投資先を選ぶ時にどのリスクを自分が取っているのかひとつひとつ確認するだけでも理解が深まりますよ。
投資初心者が避けるべきシチュエーション
ここからは取らないリスクを考えるために、投資を始めたばかりの人が避けたほうがいい状況について考えていきます。
初心者が投資をするうえで避けるべき状況は大きく2つです。
投資元本の半分以上を損失すること
初心者におすすめしないのは投資した元本の半分以上、もしくは全額を失う可能性のある投資です。
大きな損失が精神的にダメージを与えることもひとつですが、他にも理由があります。
まずこの表を見てみてください。
損失 (%) | 元本を取り戻すために必要な利益(%) |
8% | 8.7% |
25% | 33% |
30% | 43% |
40% | 67% |
50% | 100% |
この表は損失に対して元本を取り戻すために必要な利益率を表しています。
図を見ると分かるように損失額が小さいほど少ない利益で元本を取り戻せるのに対して、損失が大きくなると元本を取り戻すのにより大きな利益が必要になります。
例えば投資の半分(50%)の損失を出した場合に、元本を取り戻すのに必要な利益率は100%なんですね。。
ちなみにこれが投資の初年度に50%損失を出した場合に元本が回復するまでに掛かる時間を表したもの。
2年目以降に10%の利益を出し続けても元本を回復するまでに9年もかかるなんて長すぎですよね。
投資では大きく負けないことが重要なのですが、特にこれから投資をはじめる人には知ってほしいポイントです。
投資した商品が長い期間解約、引き出しできない
投資した商品を長い期間解約、引き落としできない投資も初心者は避けたほうがいいです。
こういった商品は保険や年金型の投資商品でよく見かけます。
「毎月1万円の少額から始められるし、いつでも積立を止められますよ」とセールストークをされるのですが下記の理由でおすすめしません。
- 運用会社のパフォーマンスがずっといい保証はない
- 緊急で必要なお金ではなくても、運用が悪ければ他の運用で得られたはずの利益を失う
- 初心者がはじめからいい投資商品を見つけるのは難しい
投資を始めたばかりで、最初から最適な投資先を選べる人はごく僅かです。
ということは遅かれ早かれ「投資先を変更したい」と思う日が来るんですよね。
そんな時に5年、10年、もしくは25年と投資金額がロックされるのは大きな機会損失です。
初心者が避けるべき投資リスクとは
では具体的に初心者が避けたほうがいい4つの投資リスクを紹介します。
まず投資元本を半分以上失わないために避けたいリスクから。
Counterparty risk (カウンターパーティーリスク)
カウンターパーティ―リスクとは契約を交わした相手方が契約満期を前に倒産したり、債務不履行になることで取り引きが完結しないリスクのことです。
株やファンドを証券会社から購入する場合は、日本の場合証券取引法(イギリスはFSCS)で清算機関が整備されていることが多いのでそこまで問題になることはありません。
ただ下記の場合はカウンターパーティーリスクにさらされることになり、最悪デフォルトした場合に元本を全額失う可能性があるので注意が必要です。
- 法的整備が整っていない取引所 (一部のビットコイン取引所や人の紹介で直接ファンドを買うなども含まれます)
- 金融派生商品(derivatives) 取引
- 仕組み債(structured products)
このリスクは投資をする際に法的整備されていない取引所や金融派生商品を買わないことで簡単に防げるのですが、見えにくいリスクということもあり投資初心者が知らずに取りがちなリスクのひとつです。
このブログで取り上げているソーシャルレンディングもカウンターパーティーリスクがあります。
詳しくはソーシャルレンディングは怪しい?リスクと確認するべきポイントまとめに書いているので投資を検討する前にぜひ読んでくださいね。
Stock specific risk(会社の事業リスク)
これは株や社債を通して会社に投資した場合に、経営がうまくいかなくなったり、倒産することで損失を被るリスクです。
個別株の場合は倒産しなかったとしても、最大50%下落する可能性は十分考えられます。
株やファンドに投資する場合このリスクを100%避けることはできませんが、相関性の低い資産を組み合わせることで下落リスクを抑えることができます。
リスクとリターンのバランスを取る投資戦略については投資を始める前にアセットアロケーションをシンプルに決めようで書いているのでこちらも併せて読んでみてください。
Volatility (変動リスク)
投資商品の価格の変動度合いをVolatility(ボラティリティ)と言うのですが、変動の度合いが大きいものは価格上昇も大きい分、大きく価格が下落することもあるので注意が必要です。
このリスクも投資をする上でゼロにすることは出来ないのですが、投資に慣れていないうちはボラティリティが低いもので運用するか、ボラティリティが高い商品の投資金額を少なめにすることでリスクを抑えられます。
次に投資した商品が長い期間解約、引き出しできない状況を回避するために避けたいリスクを紹介します。
Liquidity risk(流動性リスク)
流動性とは換金のしやすさの目安です。
例えば現金はすぐ引き出せるし、お店で使えるのでとても流動性が高いですが、不動産や年金の積み立てはすぐに換金できないので流動性は低いと言えます。
ファンドや株は比較的流動性の高い金融商品ですが市場規模や取引量が売りやすさに影響するので投資する前に必ず確認しましょう。
ファンドの場合は純資産総額が大きいファンドを選ぶことで相場が大きく動いた時に「売りたいのに、なかなか売れない」という状況は避けられます。
また解約や引き出しにペナルティーや手数料がかかる商品も流動性の観点からあまりおすすめしません。
いつでも売れる、引き出せる投資商品はたくさんあるので慣れないうちは流動性を重視して商品を選びましょう。
投資初心者が避けるべき4つのリスクのまとめ
最後に大事なことなので、もう一度投資初心者が避けるべき4つのリスクをまとめますね。
- Counterparty risk (カウンターパーティーリスク)
- Stock specific risk(会社の事業リスク)
- Volatility (変動リスク)
- Liquidity risk(流動性リスク)
リスクを取らなければある程度のリターン(5%-10%以上)が得られないことは多くの人が分かっていても、何のリスクを取るべきではないかは投資をはじめる人にあまり伝わっていないと感じていました。
ぜひこの記事が投資をする際のリスクについて理解を深めるきっかけになれば嬉しいです。