こんにちは!Chiyo(ChiyoM_London)です。
イギリス在住ならおなじみのISAという非課税制度、このブログでもイギリスの4つのISAについて解説しますという記事で取り上げました。
その中でも仕組みが複雑なのは最初の住宅購入をサポートするためのHelp to Buy ISAと2017年から新しく出来たLifetime ISA
いったいどちらがお得なの?と金融系メディアがたくさん英語で比較記事を出していますが、項目や条件がありすぎていまいちピンと来ないという人も多いのではないでしょうか。
特に日本人でイギリスに滞在している場合、必ず住宅を購入するかは判断が難しいところ。
そこで、この記事では貯蓄という観点からHelp to Buy ISAとLifetime ISAを比較することでイギリスに住みながらどう有効活用できるかについて考えてみました。
この記事では貯蓄に焦点をあてて、不動産購入時の利用については下記の記事を参考にしてください。
関連記事 イギリスで家を買う_Lifetime ISAについて
まずは簡単に2つのISAの特徴を紹介しますね。
目次
Help To Buy ISA
Help to Buy ISAはCASH ISAの一部で流動性を保ちつつ、年間の利息と不動産購入が確定した時に25%分のボーナスを受け取ることができるISAです。
貯蓄の目的で利用すると不動産購入時の25%分のボーナスは受け取れませんが他のCASH ISAよりも高い利息(2018年3月現在 2%程)なおかつ非課税で運用でき、ペナルティーなしでいつでも引き出し可能です。
イギリスで不動産を購入する予定がなくても、定期預金のような感覚で利用できます。
利息は銀行によって違いますが、ほとんどの銀行で取扱いがあるので既に口座を持っている銀行で簡単に口座を開設できるのは便利ですね。
Help to Buy ISAのデメリット
次にHelp to Buy ISAを利用するうえでのデメリットをあげてみます。
- Help to Buy ISAの口座を開いた年は他のCASH ISAの口座開設ができない
- Help to Buy ISAに入金している年は他のCASH ISAの口座に入金できない
- 年間に入金できるのは初年度(2400ポンド + 最初の入金 1200ポンド)、2年目以降は2400ポンドのみ
- 毎月の積立の上限が200ポンドなので、利息は思ったより低い
- 現在2019年12月で新規口座の開設を終了する見込み
この中で一番のデメリットはHelp to Buy ISAに積立している間は他のCASH ISA口座の新規開設や入金ができないこと。(前年度のトランスファーはOK)
2017-2018年度(税制年度)のISAの投資限度額は20000ポンドなので、Help to Buy ISAを利用した場合 CASH ISA以外の他のISA(Stocks and Shares ISAs, Innovative finance ISAs and Lifetime ISAs)で運用しないと限度額が使いきれません。
Help to Buy ISAはCASH ISAの中で利息は高いといっても、入金できる額が限られているのでCASH ISAに投資できる額が多いのであればあえて利用しないほうが受け取れる利息が高い場合があります。
逆に貯蓄出来る額が年間3000ポンド程度の場合は他のCASH ISAよりもHelp to Buy ISAのほうがお得ですね。
Lifetime ISA
Lifetime ISAとは2017年4月に始まった新しいタイプのISAで最初の不動産購入もしくは60歳以降の引き出しの際に25%のボーナスをもらえます。
Help to Buy ISAと大きく違うポイントは不動産を購入しなくても60歳以降に引き出しをすればボーナスをもらえること、現金のみではなく株式にも投資をできます。
また独立したISAなのでLifetime ISAの口座を開いてもCASH ISAやStocks and Shares ISAsの口座開設や入金が制限されることはありません。
1年で積み立てられる金額も4000ポンドとHelp to Buy ISAに比べると多めに設定されていますね。
Lifetime ISAは年齢制限あり
Lifetime ISAは年齢制限があり18歳以上39歳以下を口座開設の対象にしています。
この年齢の範囲内であれば50歳になる年まで積立可能でもし不動産を購入しない場合は60歳以降にボーナスと一緒に引き出しできます。
少し複雑なので図にまとめてみました。
不動産を購入しなくても、60歳まで待てば25%のボーナスがもらえるなんてかなりいい商品だし、年齢制限さえなければLifetime ISAのほうがHelp to Buy ISAよりお得な気がしてきませんか?
ここからはLifetime ISAのデメリットも見ていきます。
Lifetime ISAのデメリット
- 流動性が低い (60歳まで引き出せない)
- ペナルティーがあり、早く引き出すと目減りする
- 不動産に利用する場合は口座を開いて1年経たないと使えない
- 会社員の場合Pension Schemeを利用したほうがお得なことも
- 現金の運用金融機関は現在1社のみ
Lifetime ISAのデメリットはなんといっても流動性の低さです。
30歳から積み立てて貯蓄としてボーナスを受け取るには30年待つ必要があり、もし不動産を購入せず早く引き出した場合は25%のペナルティーがかかります。
一見25%のボーナスがなくなるだけで元本は守られているように見えるのですがここが注意ポイント。
25%のペナルティーは元本だけでなく、ボーナスを含めた金額にかかるのです。
例えば2017年4月に1000ポンドをLifetime ISAに入金したとしましょう。
2018年4月には25%の250ポンドのボーナスがもらえます。
(ここでは分かりやすくするために利子、運用は0%として計算します。)
その後、急にお金が必要になって引き落とした場合には1250ポンドの25% 312.50ポンドがペナルティーとして引かれて937.5ポンドが口座に戻ってきます。
つまりLifetime ISAのボーナス対象以外で引き落としを行った場合、常に入金額の6.25%をペナルティーとして失うことになるのです。
運用をしながら6.25%以上の利益を出さないと元本割れするので、基本的にLifetime ISAは不動産購入に使うか30年引き出さなくてもいい金額のみ投資するべき商品です。
また会社員の場合は老後の貯蓄としてはLifetime ISAよりWorkplace Pensionを利用したほうがお得なことも多いです(特に高額納税者)
どちらかお得か調べられるCalculatorもあるので会社で年金がある場合はそちらで積み立てることもあわせて検討してみてください。
Workplace Pensionを含む私的年金についてはイギリスの私的年金SIPPのポイントを分かりやすく解説します で書いています。
Help to Buy ISA と Lifetime ISA 貯蓄として活用するならどっち?
以上のことを踏まえてHelp to Buy ISAとLifetime ISAの恩恵を受けれる人を考えてみました。
Help to Buy ISA
- 1年以内に家を購入予定
- 現在3000ポンド程の1年間使わなくてもいい貯蓄がある
- 滞在期間(1-5年)程度で帰国のタイミングで引き落としたい
Lifetime ISA
- 家を買う可能性あり
- イギリスに5年以上住む予定
- 自営業で年金スキームがない
- 60歳まで引き出せなくても問題ない貯蓄がある
ちなみに期間限定で滞在している方によく聞かれる質問。
帰国後にISAを維持できるかどうか
その答えは帰国後の入金は出来ないけれど、口座は維持できるし既に入金している金額については非課税です。
今後の貯蓄を考えた時にこの2つのISAをどう活用するかこの記事が少しでもヒントになれば嬉しいです。