こんにちは!Chiyo(ChiyoM_London)です。
今回からはいよいよ投資の中身、資産配分の決め方を海外投資ブロガーの記事をヒントに考えたいと思います。
ちなみに前回は月々の投資額の決め方について書いています。
目次
アセットアロケーション とは?
早速ですがアセットアロケーションという言葉を聞いたことがありますか?
Wikipediaによると
アセットアロケーション(資産配分) とは、投資家のリスク許容度、目標、時間軸に応じて、ポートフォリオ内の各資産の割合を調整することにより、リスクとリターンのバランスを取ろうとする投資戦略である
とのこと。
簡単に言うと目標とリスクを考慮して投資する資産の割合を決めることなのですが、目標はもちろん、年齢、リスクに対しての考え方も人それぞれ。
これが正解というはっきりとした答えがあるわけではありません。
そもそもなぜ本格的な投資を始める前にアセットアロケーションを決める必要があるのでしょうか。
アセットアロケーションをする意味
投資をしていくなかで、リスクとリターンを最適化するためにアセットアロケーションをすることは理解できます。
でも、投資を始める前にアセットアロケーションをわざわざ決めるのはなんのためでしょう?
それはリスク許容度にあったポートフォリオを作るためです。
アセットアロケーションを投資前に考えることで目標リターンにとらわれて、許容できる以上のリスクを取ってしまうことを防ぐことができます。
上記の理由から、この記事で紹介するアセットアロケーションは出来るだけシンプルに定期的に見直しをしやすいという視点で書いています。
今回紹介するブログ:Can I retire Yet?
今回紹介するブログはアメリカ在住のエンジニア Darrow Kirkpatrickさんの個人ブログ Can I retire Yet?
30代から貯蓄、投資を始めて50歳で早期リタイアを実現しています。
投資方法はインデックスファンドが中心でプロフィールにはこんな風に書いてあります。
I’m not a dot-com millionaire. And I didn’t become financially independent by flipping real estate or trading hot stocks.
私はITバブル ミリオネアでもないし、不動産を転がしたり、新規発行株を売買したことによって早期リタイアしたわけではない。
I did it the traditional way: hard work, frugality, prudent investing, and patience.
ハードに働き、倹約して、堅実な投資を続けることで成し遂げた。
今回このブログをアセットアロケーションの記事で取り上げたいと思ったのは、他のブログと比べて圧倒的にシンプルで分かりやすかったから。
記事 5 Simple Asset Allocation Strategies
英語も読みやすいので早期リタイア、インデックス投資に興味がある人はぜひ読んでみてください。
配分で一番重要なのは株と債券の割合
何に投資するかを考える上でまず大事なのは株と債券の配分です。
その理由は株と債券では価格変動の度合いと期待されるリターンが大きく違うため。
株 価格変動が大きい分、期待されるリターンも大きい
債券 価格変動が小さい分、期待されるリターンも少ない
また長期的なスパンでは、株と債券は独自の値動きで相関性が低いと言われています。
株は大きな値上がりも期待できますが、最大50%の損失の可能性はどんな時も起こりうると言われていて、分散して株と債券に投資をすることで全ての資産が一緒に暴落することを防ぐことができます。
ここからはブログ記事のなかで紹介されていた5つのアセットアロケーション方法をひとつずつ考えていきます。
どれが正解というわけではなく、この5つの方法を一通り検討することで自分に取って最適なアセットアロケーションが見えてくるはずです。
シンプルにアセットアロケーションをする5つの方法
自分の年齢(%)=債券の比率で資産配分をする
よくRule of thumb (日本語だと経験則?)と紹介されるほど昔からあるシンプルな資産配分方法で、バンガード・グループ創業者のジャック・ボーグル氏に帰属する法則 (推定)と言われることも。
自分が40歳だった場合は40%債券、60%株式という割合で投資をして、年齢が上がるほど債券の比率を上げるという方法です。
記事の中では全く反対の投資戦略 (rising equity glidepath in retirement とGoogleで調べると出てくるそう!)があることを書きながらも自分の年齢(%)=債券の比率方法はアセットアロケーションを考えるスタートポイントとして合理的で、最終的には様々なシナリオにおいて満足できる結果になると書いてあります。
許容できる最大損失から資産配分する
これはどれくらいまでなら投資額がマイナスになっても感情的に耐えられるか(冷静でいられるか)をもとに資産配分を決める方法です。
株が最大50%下落する可能性があることを前提に考えて、どれくらいの最大損失ならパニック売りをせずに感情的に耐えられますか?
それは総ポートフォリオの10%、20%もしくは40%ですか?
パーセンテージでピンと来ない場合はぜひ、今投資している資産額から具体的な数字を出してどう感じるか考えてみましょう。
ブログの中でもこんな風に書いてあります。
A 20% drawdown in a newbie investor’s $10K savings ($2,000) could feel very different from the same drawdown in a near-retiree’s $500K nest egg ($100,000)!
20%の下落は投資をはじめたばかり(10000ドル貯蓄で2000ドルの損失)の人とリタイア間近の人(500,000ドル貯蓄、100,000ドルの下落)では感じ方が全く違うはずだ。
100万円に対して20万円損失するのと5000万円に対して1000万円損失するのは同じ20%の下落です。
どんな風に感じますか?
思っていたより損失が大きく感じたらリスク許容度を変える必要があります。
そしてリスク許容度は一度決めたら終わりではなく1年ごとに変更がないか見直すことはとても重要です。
許容できる最大損失が決まったら、下記の計算を使って債券比率を考えます。
計算式
(100-2 x 許容できる最大損失率(%)) =債券比率
例えば仮に最大20%まで損失を許容できるとしたら計算はこうなります。
債券 60% 株 40%
(100 – 2 x 20(%))=60%
最悪のシナリオに備えた資産配分をする
経済の下降局面で値下がった株に手を付けることなく、現金と債券で生活できるように資産配分を考える方法で、ある程度まとまった資産がある人向けです。
(すでにリタイアしている人、もしくはリタイア間近の人など)
この資産配分で必要な情報は1年間の生活費と株の平均的な下降サイクル。
生活費については、生活防衛資金の金額を決める時に調べていればその数字をそのまま使いましょう。
株の平均的な下降サイクルについてはこう書かれています。
to outlast a run-of-the-mill bear market, you should have three years of cash on hand. And for a worst-case recession/depression, you’d better have close to a decade worth of cash, plus other conservative investments you could rely on once cash runs out.
株価の下降局面を生き残るためには、3年分の現金を用意しておく必要だ。
最悪の不景気、恐慌の場合は10年分の現金と保守的な投資(万が一、現金が足りなくなった時)を持っておくのがいいだろう
これをもとに生活費10年分の資産を債券で持つように資産配分を考えます。
例えば年間の生活費が500万円で、現在1億円の資産があるとしましょう。
その場合10年分の生活費5000万円を債券で持ち、残りの資産 5000万円は株で持つ配分になります。(株と債券の割合 50:50)
この計算はかなり大雑把で、将来の株の潜在的な値上がりやリバランスについては考慮されていません。
ただ今後大きな恐慌が来た場合でもこの方法で備えておけば値下がりした株を慌てて現金化することなく乗り切れるはずなので、リタイアが近づいている人、資産が大きくなってきた人には有効なアセットアロケーションの方法です。
債券と株を半分ずつ持つ
だんだんシンプルすぎるくらいのアセットアロケーションになってきましたがここでのおすすめは単純に債券と株を半分ずつ持つ方法です。
50%ずつ持つことの根拠がはっきりあるわけではないのですが、このブログの著者 Darrow Kirkpatrickさんは彼の投資キャリアのほとんどを債券と株に半分ずつ投資をして2008年の金融危機含め、年平均6%の利益を出してきたそう。
資産運用の目標金額が分からなければまずミリオネアを目指そうという記事の中で少しふれた4%ルール、このルールに従ってリタイア後にお金を引き出す場合資産運用を年4%以上に設定する必要があります。
債券と株 50/50ずつ持つことは価格の変動性を抑えるだけでなく、4%ルールを維持するために必要な利回りを発生させるのに充分なアセットアロケーションとも言えます。
そしてこの資産配分方法は20代や30代の投資をはじめたばかりの人にも有効だそう。
特にリスク許容度がはっきりわからない場合は、年齢が若くても株 50:債券 50の配分からスタートして、慣れてきたら債券の配分を年齢と同じにする方法が記事の中でおすすめされています。
ALL IN ONE ファンドを利用する
5つめの方法は自分でアセットアロケーションを行わず債券と株がすでにセットになったファンド・オブ・ファンズ(Fund of funds)を購入する方法です。
代表的なものにリタイアまでの年数をもとに配分するターゲットデートファンドとリスク許容度をもとに配分するライフストラテジーファンドというものがありALL IN ONE ファンドと呼ばれることも。

ALL IN ONE ファンドのいいところは、自分でリバランスをする必要がないこと。
4つのファンドからリタイアまでの年数、リスク許容度を選んで自分にあう配分のファンドに投資するだけ。
銘柄を選ぶ楽しみはないけれど、投資の手間はかなり省けますね。
ALL IN ONE ファンドは手数料が高くなるイメージだったのですが、最近ではVanguardがライフストラテジーファンドの手数料を引き下げたり、投資の一部に利用する人も増えていて注目しています。
ブログの著者 Kirkpatrickさんもポートフォリオの3分の1はALL IN ONE ファンドを保有しているそう。
アセットアロケーションをシンプルに決めようのまとめ
海外投資ブロガーの記事を見ているとアセットアロケーションについてはあまり新しい情報はなく、自分の年齢=債券比率や50:50で資産配分するなど昔から伝わるThumbs of ruleと言われる方法をそのまま実行している人が多い印象です。
投資を始める前に上記の5つの方法でアセットアロケーションを検討することで、途中退場することなく長期的に投資をし続ける環境を作ることができると思います。
紹介した方法は全てシンプルで簡単なのでぜひ参考にしてみてくださいね。